ベンチャー成功要因分析シリーズ① メルカリはヤフオクがいたのになぜ成功した? -2/4

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

0.30秒で分かるまとめ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<一言でいうとなぜ成功したの?>

メルカリは、スマホシフトの流れに合わせ、ヤフオクが取りこぼしていた”楽に”売り買いしたいライト層のニーズを満たした(ヤフオクはできるだけ”高く(安く)”売り買いしたいヘビー層がメインだった)

<どうやってライト層のニーズを満たしたの?>

スマホシフトの流れに合わせ、手軽に出品&購入することができるUXを磨き上げた

<なぜヤフオクはメルカリと同じ事をより多い資金でやらなかったの?>

ヘビー層のニーズに最適化された既存の体制が足かせとなり、同時にライト層のニーズを満たすことが難しかった

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目次

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.現在(2020年5月)メルカリはヤフオクにどの程度追いついているのか?

2.メルカリはヤフオクという巨人がいた中どうやって成長したのか?

3.なぜヤフオクはメルカリと同じ事をより多い資金でやらなかったのか?

4.今後の各社の動向・戦略



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2.メルカリはヤフオクという巨人がいた中どうやって成長したのか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<一言で言うと>

スマホシフトの流れに合わせ、ヤフオクが取りこぼしていた”楽に”売り買いしたいライト層のニーズを満たした(ヤフオクはできるだけ”高く(安く)”売り買いしたいヘビー層がメインだった)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでで、メルカリはヤフオクに対して(ほぼ)勝利を収めつつあり、その要因は、ヤフオクが今まで獲得できていなかった女性/若年層(10~30代)が中心の、少額取引を好むライトユーザー層を獲得できたから、だという事が分かる。


では、なぜ、メルカリはヤフオクが今まで獲得できていなかった女性/若年層(10~30代)が中心の、少額取引を好むライトユーザー層を獲得できたのだろうか。

一言で言うのであれば、スマホシフトの流れに合わせ、ヤフオクが取りこぼしていた”楽に”売り買いしたいライト層のニーズを満たした(ヤフオクはできるだけ”高く(安く)”売り買いしたいヘビー層がメインだった)から、だと言うのが筆者の考えである。


順番に説明をしていく。

まず、PCからスマホへのシフトの流れが2010年から始まり、2017年にスマホの保有率がPCを超えた。

出展:総務省-情報通信機器の世帯保有率の推移

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd232110.html


このスマホシフトの流れにより、消費者の「インターネットにアクセスする」という意味が大きく変化した。

ニールセンの調査によると、PCの利用目的の上位は「必要な知識・情報を得るため」「新しい知識・情報や面白い情報を得るため」「商品やサービスを購入するため」というような、目的意識が強い情報収集が中心だった。

それに対し、スマートフォンの利用目的上位は「家族や友人・知人とコミュニケーションするため」「目的地へ行くための経路や地図を確認するため」「空いた時間を埋めるため」というような、情報収集に留まらない、より多様な生活のを満たすものに変化した。

出展:BTOパソコン.jp-なぜ若者はPCよりスマホか?今後はPCよりスマホ?

https://btopc.jp/etc/use-youth-sp-2015.html


これは噛み砕いて言えば、PCが中心の時代は、インターネットにアクセスするという行為は「なにか知りたいことや、買いたいもの等、目的があるときに情報収集のために行う行為」だったのに対し、スマートフォンの登場により、インターネットにアクセス”する”という行為は実質的になくなり「インターネットは空気のように常時ゆるやかに接続しており、その時々に発生したニーズや気分によって、使うサービスを分ける」という、いわゆる「OMO=Online Merges with Offline」と言われるような状態が当たり前となったとも言える。

iPhoneタイプのスマートフォンがなかった時代、デスクトップPC上で起動するソフトウェアやアプリケーションは、当然ながら「PCを利用しているシーン」が前提としてデザインされていました。モバイルPCが登場して利用シーンはやや拡がりましたが、それでも、PCは椅子と机がある屋内で座りながら使うもの、という制約は変わりませんでした。 ところがスマートフォンにはこのような利用シーンの制約がありません。家族と会話しながら、歯を磨きながら、ベッドで横になりながら使うことができます。屋内である必要もありません。駅のホームでも、混雑した電車の中でも、雨の日に傘を差しながらでも使えます。このようにデバイスが利用シーンを特定しなくなったことで、そこに載るアプリケーションは機能だけでなく、使われる状況や前後の体験の流れを考えて設計しなくてはならなくなりました。 この影響を受けたのはソフトウェアやアプリケーションだけではありません。情報の接触機会が飛躍的に増えるということは、ブランド体験や広告の設計方法が大きく変わることを意味します。限られたチャネルの限られた接点でしか情報に触れることができなかったスマートフォン以前の単純な世界と、睡眠時間以外のすべての時間で情報と接触することができるようになったスマートフォン以後の複雑な世界では、マーケティング手法が大きく変わりました。

出展:Tsutomu Sogitani-なぜUXという言葉は広まったのか

https://note.com/sogitani/n/nc5597b475590


また、このOMO的な状態が当たり前になったことで、消費者のインターネット上での行動も大きく変化した。

具体的には、消費者は以前よりも「知りたい!」「買いたい!」と思った”その瞬間”に、そのニーズを手軽に、素早く満たして欲しい、と強く思うようになってきている。

特にこの”その瞬間に”、という点のハードルが、PCが中心の時代よりも加速度的に向上している。

出展:アプリマーケティング研究所-スマホ通販「すぐ欲しい」気持ち冷めちゃう。20代女性が語る「手元に届くまでの速度」が通販ユーザーの満足度にも影響する話。

https://note.com/marketing/n/nadf0a3ccb4f1


Googleもこの類の消費行動には注目しており、瞬間的に買いたくなってそのまま購入に至るという消費行動を「パルス型消費行動」と名付けている。

スマートフォンの普及とテクノロジーの発展により、消費者の行動に大きな変化が起きている。その1つがグーグルが2019年6月に発表した「パルス消費」だ。ここでいう「パルス」とは、消費者の中に突如として湧き上がる「買いたい気持ち」のこと。つまりパルス消費とは「スマホを操作しているときに、突発的に買いたい気持ちが高まり、商材を発見した瞬間に購入の意思を固める」という消費行動を意味する。
普段スマホをいじりながら、ふと思い出したようにECサイトに飛んで購入ボタンをタップしたり、記事などを読んでいて、そこに登場する商品が欲しくなって“ぽちっ”と――そんな経験をしたことのある人も多いだろう。グーグルによると、今の人々は買う直前まで知らなかった名前の商品を購入するのにためらわなくなっている他、ECサイトにアクセスした時点で具体的にどの商品を買うか決めていなかったり、スマホ閲覧中に偶然知った商品を購入することに躊躇(ちゅうちょ)しなくなったりしているという。人はスマホを手にしたことで、「24時間すべてが買い物のタイミング」となり、欲しい気持ちが高まれば、一気に購入まで終わらせてしまう……。

ジャーニー型消費行動とパルス型消費行動

2018年の調査結果から、グーグルはパルス消費を「ジャーニー型がAttention(認知)から段階的にAction(購入)へと進んでいくのに対し、右のパルス型では認知から一気に購入に至る」としていた (c)Google


出展:日経XTREND-グーグルが提唱「パルス消費」 スマホ世代の消費行動の新事実

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/00937/


また、このスマホシフトから産まれた新たな消費行動は、スマートフォンが他の年代よりも早く普及した若年層に現れやすい。

出展:ガベージニュース-スマートフォンとタブレット型端末の普及率推移をグラフ化してみる(最新) http://www.garbagenews.net/archives/2257046.html かつ、男性よりも女性の方が、Eコマースの利用率、利用回数、利用時間が多いため、スマホシフトにより新たに産まれた、「知りたい!」「買いたい!」と思った”その瞬間”に、そのニーズを手軽に、素早く満たして欲しい、というEコマースユーザーは、女性/若年層(10~30代)が中心となり、メルカリが獲得した新たな顧客層と重なる。

出展:nielsen-「Eコマース」の利用は、女性はスマートフォン、男性はPCで長時間利用~ニールセン 「Eコマース」サービスの男女別の利用状況を発表~

https://www.netratings.co.jp/news_release/2017/04/Newsrelease20170425.html

このように、スマホシフトにより変化した消費者の購買行動を、メルカリはヤフオクよりもいち早く掴み、サービスの在り方に落とし込んでいった。




具体的には、購入/出品にかかる手間を徹底的に減らして行くことを中心として、サービス設計やUX投資を行っていった。


①購入にかかる手間を減らす

購入にかかる手間を減らす、という点で、ヤフオクよりもメルカリが構造上優れているのは「オークション形式」ではなく「フリマ形式」であるという点だ。言わずもがな「オークション形式」は予め決められた入札完了期日までは取引が完了することは無く、また、自分の入札価格が


②出品にかかる手間を減らす



③決済に伴う不安を減らす

エスクロー 


ヤフオク!は2018年3月1日から決済の仕組みをエスクロー一本化に切っていしたが、メルカリはサービス開始時の2013年から同決済サービスを導入していた。

出展:一橋MBA戦略分析ケースブック 事業創造編


④配送の手間/不安を減らす

匿名配送


メルカリ力を入れている



アプリのUXもある


ヤフオク→オークション 高く売れる スマホシフトの流れに合わせ、ヤフオクが取りこぼしていた”楽に”売り買いしたいライト層のニーズを満たした(ヤフオクはできるだけ”高く(安く)”売り買いしたいヘビー層がメインだった) ■フリマ&オークションの取引の流れ

出展:特選街web-【メルカリ&ヤフオク入門講座】フリマとオークションの違いは?

https://tokusengai.com/_ct/17332219

出品にかかる手間を減らす、という点では、特にメルカリは様々な工夫や投資を行っている。

memo

・会員登録~出品~配送までを楽に、UX

・エスクロー決済、配送、とか、外部との連携

新規事業/サービス開発のことなら、

豊富な支援実績のある私たちにご相談ください。


私たちは、新規事業/サービス開発を専門とするチームです。顧客中心としたビジネスを設計を得意とし、未来社会の仮説をもとに事業/サービス構想から実装まで一気通貫で支援を行えます。 新たに事業/サービスを打ち出したい企業様、構想はぼんやりあるが実現のイメージがわきづらい企業様は、我々サービスデザイナーまで気軽にご相談ください。


明日の社会のあたりまえを作っていく仕事、ぜひ一緒に汗をかかせてください。


閲覧数:90回